インハウスデザイナーとして入社した後、「広報的なこともお願いするかも」という話をいただきました。
正直な第一声は、「え、広報って何すればいいの?」でした。
広報といえば社内報やプレスリリース。そのくらいのイメージしかなく、具体的に何をするのかはよく分からない。社内に専任担当も部署もない中で、どこから手をつければいいのか、最初はとても迷いました。
それでも実際に関わっていく中で、社長の想いや方向性を、形として整理する場面が増えてきました。「どうやったら会社をもっと知ってもらえるだろう」と考えることが、少しずつ楽しくなっていきました。
最初につまずいたこと
チラシ一つとっても、スピード優先なのか・どこまで情報を出すべきか・この方向性で合っているのか——正解が分からないまま進めなければいけない。しかも社内でデザインを担当しているのは自分だけ。
会社のブログやお知らせ記事の構成・文章・見せ方も、「これで本当にいいのかな?」と不安でした。相談できる人がいない中で、最初に記事を公開したときはとても緊張したのを覚えています。
その結果、確認や修正に時間がかかり、一つの業務に想定以上の時間を使ってしまう状態が続いていました。
AIを味方に、思考を整理する
会社がAIツールを積極的に取り入れていたこともあり、文章を整えるだけでなく、デザインの構成整理にも使ってみることにしました。
頭の中で散らかっている情報を、とりあえず箇条書きで全部投げてみる。 「論点、ズレていませんか?」「順番はこれでいいですか?」 壁打ち相手がいるだけで、思考のスピードはかなり変わりました。
AIの回答がすべて正しいわけではありませんが、自分の頭の中が整理されることで、提案するときの不安はかなり減りました。そのうち、提案資料づくりにも応用できることに気づきました。この企画の価値は何か。懸念点は何か。
AIは「答え」を出す存在というより、思考の下書きを作ってくれる存在。ゼロから一人で考えるよりも、整理された状態からスタートできる感覚があります。
例えば、これまで数日間悩んでいたLPの構成が、1時間以内で「方向性の確認レベル」まで整理できるようになりました。
一人広報・一人デザイナーの私にとって、AIは一緒に作業してくれる仲間のような存在になっています。

AIだけでは足りないところ
もちろん、限界もあります。その場の空気感や、相手の状況までは分かりません。最終的なハンドルは、自分で握るしかありません。
AIはあくまで補助輪。そのことは、忘れないようにしています。
実際に使っているAIへの質問例
情報整理や企画の場面で、実際によく使っている問いをいくつか挙げます。
・このMTGの論点を3つに整理してください
・この情報を、意思決定者が5分で判断できる形に構造化してください
・この施策のメリットと懸念点を分けて整理してください
・意思決定者が分かりやすいように、メリット・デメリットを比較表にしてください
・この内容は「ニュース性」という観点で弱いですか?理由も含めて教えてください
・判断者が懸念しそうなポイントを先回りして挙げてください
特別なテクニックは何もなく、判断材料をそろえること。それだけです。
判断材料とは具体的に、この事業の目的・想定される効果・懸念点、など。
・この事業の目的
・想定される効果
・懸念点 …
こうしてまとめた内容を提案すると、返答が「どうすればいい?」「分からない」ではなく、「これで進めよう!」「いったん保留で」に変わりました。
今思っていること
未経験でも走れるかどうかは、「思考を整理できる環境があるかどうか」と「相手の立場を想像する力」だと思います。
AIは答えをくれる存在ではなく、判断を迫られたときに助けてくれる存在。そして相手を思いやる力や想像力は、自分がこれまで積み上げてきた感覚が大切だと感じています。
AIを使いすぎて自分で考えなくなるのではないかと不安だった時期もありましたが、思考を構造化する力は少しずつ積み上がってきていると実感しています。
未経験でも、整理して判断できる状態をつくることはできる。
そして広報の仕事は、発信することより前に、「判断できる状態を作ること」。
それができると、意思決定のスピードが上がり、仕事が前に進みやすくなります。最初は不安も多かったですが、今では新しい事業に関われることがとても楽しいです!

