一人広報の実務で感じた、AIを活用しやすい業務とそうでない業務

AIを業務で使うようになってから、
「とりあえず触ってみる」という段階は、少しずつ抜けてきました。

実際に使い続ける中で、

  • これはかなり助かる
  • これはそこまで変わらない
  • これは自分でやった方が早い

という線引きも、少しずつ判断できるようになってきました。

私は社内で一人広報のような立場で仕事をしているのですが、仕事の幅が広いことが特徴です。

社長の頭の中にある抽象的なイメージを形にしたり、関係者ごとの考え方の違いを見ながら伝え方を変えたり、相手の頭の中を整理して、進みやすい形にすることが私の仕事だと現在は考えています。

その中でAIは、単なる効率化の道具というより、
ぼんやりした考えを複数の形で可視化して、判断しやすくするための補助役として使う場面が増えました。

その結果、
👉 どの方向で進めるかを比較しながら判断できるため、意思決定のスピードが上がる感覚があります。

今回は、一人広報として働く中で、
AIを活用することで進めやすくなった業務と、そうでもなかった業務をまとめてみます。

目次

結論:AIと相性がいいこと・難しいこと

今のところ、私の中ではこんなふうに分かれています。

AIと相性がいいこと

  • 情報整理
  • 論点出し
  • 資料のたたき台づくり
  • コピーの方向性出し
  • 抽象的なイメージの言語化

AIだけでは難しいこと

  • 最終判断
  • 相手に合わせた微調整
  • 社内調整
  • 空気を読むこと
  • 報告するタイミングを読むこと

AIを使用しない日はなく、私の業務に必ず必要な相棒となりましたが、

  • どの案を採用するか
  • 誰にどう見せるか
  • 今このタイミングで出すべきか

このあたりは、やはり自分で判断する必要があります。

そしてこの判断は腕の見せどころで、コミュニケーション能力や今までの経験してきたことが役に立つ場面でもあります。

AIを活用することで進めやすくなった業務

1.思考整理・論点出し

これは一番大きいです。

社長の頭の中に情報はあるのに、何から考えればいいのか分からない。
論点が散らかっていて、うまく言葉にできなくてもどかしそう…

そういうときに、口頭で出てきた言葉と熱量を打ち込みます。そうすることで目的の確認や論点の整理をかなり早く進められるようになりました。

どんな仕事も、最初の「何を目的するか」が大切ですよね!

そこを早めに言語化できると、認識のずれを防ぎやすくなります。※話を進めて行く上で目的が変わることも多々あり😂

ただ時短になるというより、
相手が判断しやすい土台を早めに作れるようになる→認識のずれが発生しにくくなりフリダシに戻ることが激減するといった感じです。

2.資料の下書き・構成案づくり

提案資料の構成、見出し案、メリットと懸念点の整理などは、かなりいや、相当助けられています。同じような方はたくさんいらっしゃるかと思います。

まず、そのまま出すことはほとんどありません。
ただ、ゼロから作るのと、たたき台がある状態から整えるのとでは、負担がかなり違います。

特に、社長の中にある抽象的なイメージを

  • こういう方向ですか?
  • こちらの切り口もありそうです
  • この見せ方なら比較しやすいです

という形で複数パターンにして見せたいときに、この補助はかなり大きいです。

これは単なる作業短縮というより、
意思決定者が比較しやすい状態をすばやく作れることに価値があると思っています。

方向性をその場で絞り込めるため、
やり取りの往復が減り、結果的に全体のスピードも上がります。

案件の初期段階で認識のズレがないか確認したいときや、短納期の中で方向性を固めたいときほど、このありがたさを感じます。

3.チラシのコピーやWeb広告文のアイデア出し

自分ひとりで考えていると、どうしても発想が寄りやすいのですが、AIを使うと切り口を一気に広げやすくなります。

ただ、ここで大事なのは、
「AIが勝手にいい言葉を作ってくれる」という話ではないことです。

実際には、

  • どのターゲットに向けるのか
  • 何を強みとして見せるのか
  • どの感情を動かしたいのか
  • どこまで具体的に言うのか

こうした前提をある程度整理しておかないと、使える案は出てきにくいです。結果AIとのやり取りの回数が増えてしまってかなりの時間を要してしまうことにも・・・

私の場合、前職でWeb広告文を作っていた経験や、行動経済学・キャッチコピーを学んだ経験があり、その分だけ指示の精度を上げやすくなるのではないかと考えています。

例えば、

・アンカリング効果(最初の提示で判断基準をつくる)
・フレーミング効果(言い方によって印象が変わる)
・選択のパラドックス(選択肢が多いと決められなくなる)

こういった前提を踏まえて指示を出すことで、AIからもより意図に近い案を引き出しやすくなります。

普段の経験からも、AIを使うほど、使う側の判断軸はむしろ必要です。案をたくさん出せることよりも、
相手に納得してもらえる方向に絞り込めることの方が、実務では大切だと思っています。

AIを活用しても、あまり短縮できなかった業務

1.判断が必要な部分

これは、やってみて一番感じたところです。

AIは案をたくさん出してくれます。
でも、案が増えるほど、逆に迷うこともあります。

たとえば、

  • どこまで攻めた表現にするか
  • 今このタイミングで出してよいか
  • この言い回しが本当に相手に刺さるか
  • 社長が好みそうな方向か

こういうことは、最終的には自分で判断するしかありません。

AIは選択肢を広げるのは得意です。
でも、どの案に責任を持つか、どこまで考えるかを決めるのは人間の役割です。

選択肢があればあるほど、広げれば広げるほど何が良いのか分からなくなることもAIを使い始めて実感することになりました。

ここを曖昧にしたまま使うと、かえって案が増えすぎて前に進みにくくなることもあるなと思います。

2.相手に合わせた微調整

同じ内容でも、

  • 誰に出すのか
  • どの場面で使うのか
  • 何を警戒されやすいのか

によって、伝え方はかなり変わります。

この微調整は、まだ人がやる部分が大きいなと感じています。

特に、

  • トーン
  • 温度感
  • 言い回しのニュアンス
  • 社内で浮かない表現かどうか

このあたりは、最後に自分でかなり手を入れることが多いです。

意思決定者が複数いて、しかも考え方のタイプが違う場合はなおさらです。
片方に寄せると、もう片方が通らない。
その結果、修正が長引いてしまうこともよくあります。

だからここは文章力だけではなく、
相手ごとの判断基準を見極める力が必要なんだと思っています。

3.社内調整・空気を読む部分

広報の仕事は、ここが大きいです。
むしろ一番大切な気がします!

  • 社長の関心が今どこに向いているか
  • 社内がその話を受け止められる状態か
  • 今出すと進むのか、少し寝かせた方がいいのか
  • 案件に対しての熱量がどのくらいなのか

資料自体は整っていても、タイミングを外すと進まないことがあります。
内容が悪いわけではなくても、「今じゃない」で止まってしまうこともあります。

そして一度止まると、そのまま再開されないこともあります。何度も経験ありです。笑

実務をやっていると、広報や提案の仕事は
作る力だけではなく、通す力も必要なんだなと強く感じます。

この「通す力」は、日頃の社内の様子や相手の性格、会話の流れを見ていないと身につきにくい部分だと思っています。

この経験が、今の仕事にどうつながっているのか

ここは、自分の中でもかなり大事だと思っている部分です。AIを使えること自体は、これからそこまで特別なことではなくなっていますよね。

でも、

  • ふわっとした要望を整理すること
  • 複数案に分けて見せること
  • 相手が判断しやすい状態まで整えること
  • 最後は相手に合わせて調整すること

こういう部分には、ちゃんと仕事としての価値があると信じています。

実際、依頼する側からすると、
「なんとなくこうしたい」で止まっていることって、意外と多いのではないでしょうか。

そんなときに必要なのは、ただ手を動かす人というより、
曖昧な要望を整理して、見える形にして、前に進めやすくする人なのかもしれません。

デザインでも、広報でも、資料作成でも、
結局求められるのは、相手の頭の中を整理して、進みやすい形にすることなのだと思います。

私自身まだまだ試行錯誤中ですが、この感覚はこれからも大切にしていきたいです。

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